スマートフォンの歴史(1)

2015年5月22日

最近よく見かける発言で「スマートフォンはタッチパネルで使いにくいから嫌。」「キーボード付きのスマートフォンは無いの?」等スマートフォン=タッチパネルと誤った認識をしている人が多く、スマートフォン=PDA+電話という本来の姿を伝えるべく数回に渡りスマートフォン黎明期から今日までの解説をしたいと思います。
第1回目の今回はスマートフォンの先祖にあたるPDAについてお話しします。

Newton MessagePad


Apple Newton 2100 / moparx
PDA(Personal Digital Assistants)はスケジュール、ToDo、住所録、メモなどの情報を携帯して扱うための小型機器で、ユーザが自由にソフトウェアをインストールできるというのが一般的な定義ではないでしょうか?
そのPDAという言葉を一番初めに用いたのはApple社が1993年に発売したMessagePadからです。といっても当時のAppleはスティーブ・ジョブズ不在でした。
OSにNewton OSを用い、手書き認識機能で直感的に操作できるなど画期的だったものの、非常に高価であったこと、持ち運ぶには大きすぎたこと、動作が遅いなどの理由で商業的に失敗し、スティーブ・ジョブズ復帰後の1998年、Mac OS Xの開発に集中するとしてNewtonの新規開発を中止しました。


Apple eMate 300 / Marcin Wichary
Newton OSを用いた別プロジェクトとして教育市場向けのeMateがありました。
Newton OSとiOSの違いなど、直接の後継モデルではないもののMessagePadがiPhoneへ連なるとすれば、eMateはiPadへ連なるといっても過言ではないかもしれません。

Palm


Original Palm Pilot / swanksalot
1996年、Palm社によって作られたPDAでGraffitiと言われる入力方法が特徴で、MessagePadよりも少ないリソースで効率良く動きます。
初期のモデルはモトローラ社の68000ベースのDragonBallという名のCPU(Palm OS 5からはARM系へ移行)、128Kバイトのメモリを搭載していました。ということは初代Macintoshとほぼ同じスペックになります。
そのため、Palmを愛好するMacユーザーも多く、またスティーブ・ジョブズもPalmを買収しようとしたニュースを何度か見た覚えがあります。
一時はIBMからWorkPad、ソニーからCLIEなど様々なメーカーから互換機が発売され謳歌を極めた時期もありましたが、2002年頃から凋落し最終的にはOS部門は日本のAccess社、ハード部門はHP社に買収されました。

Pocket PC


IMG_7200 / Gavin Tapp
Microsoftが開発したWindows CEをベースにしたOSを搭載し、1998年に発表されました。
Palmが貧弱なハードで少ないリソースを効率良く使用することに重点を置いたことに対し、Pocket PCは持ち運べるパソコンとして機能てんこ盛りの真逆のアプローチでした。
当初Palm PCという名称でしたがPalm-size PCに改められ、その後Pocket PC、Windows Mobileと名称を変えながらPDA受難の時代も生き残り、現在もWindows Phoneの名称でスマートフォン用OSとして存在しています。

他にもHP200LX、Psionなど優れたPDAが発売されましたが、初PDAのMessagePad、PDAの代表のPalm、現在も生き残るPocket PC(Windows Phone)を代表としてご紹介しました。(続く)